●FRP
FRPとは、Fiber Reinforced Plasticsの略で、日本語では強化繊維プラスチックと呼ばれ、その名の通りプラスチックを繊維で強化したものです。
繊維の種類として、グラスファイバー、カーボンファイバー、アラミドファイバーなどが使われます。
樹脂の種類としては、ポリエステル、エポキシなどの他、用途により数多くの樹脂が使われます。
FRP製品といっても使用する繊維によって呼び方が変わり、
G-FRP製品(ガラス繊維を使用)
C-FRP製品(炭素繊維を使用)
A-FRP製品(アラミド繊維を使用)
などと略されます。
※ケブラーはアラミド繊維の中のひとつで、K-FRPと略されます(モータースポーツ界ではケブラーが圧倒的に知名度が高いので、アラミド繊維を使ったFRP製品を総じてK-FRPと略される場合が多い)。
ハンドレイアップ/ウェットカーボン/WET LAY UP
一般的には「ウェットカーボン」などとも呼ばれています。
型に繊維(クロス類・マット類)を乗せ、刷毛やローラーで樹脂を塗布し、硬化させます。
この製造方法を「ハンドレイアップ法」と呼び、出来た製品を「ハンドレイアップ製品」と呼びます。
使用する繊維(クロス類・マット類)には炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維などがありますが、プリプレグと違って樹脂は含浸されていません。
プリプレグと区別する為、ハンドレイアップ用の繊維は「生クロス」などと呼んでいます。
使用する樹脂はそのままでは硬化しないので、硬化剤を混ぜて硬化させます。
メス型のみで製品を作る場合と、メス型とオス型の両方を使い、プレスして作る「コールドプレス法」などもあります。
繊維に樹脂を塗りつける「含浸」、繊維中の空気を取り除く「脱泡」など、オートクレーブ法にはない作業があり、職人の腕が試される製法です。
●オートクレーブ/ドライカーボン
プリプレグを必要枚数型に積層し、熱硬化させることにより出来る製品をオートクレーブ製品(ドライカーボン製品)といいます。
熱硬化させる際に使用する釜を、単に「オートクレーブ」と呼ぶ事もあります。
熱硬化させる際、圧力を加える場合と加えない場合があり、圧力の加え方もいくつか種類があります。
オス型とメス型でプリプレグをプレスさせる方法の他、バキュームバッグと呼ばれる布団圧縮袋みたいなものの中に入れ、その中の空気を抜くことで型とプリプレグを密着させる方法もあります。
圧縮することで繊維密度が上がり、余分な樹脂や繊維中の空気が取り除かれるので、軽く丈夫な製品が出来上がります。
ハンドレイアップ法に比べ、樹脂の含浸や空気の脱泡の作業がないので、比較的同一品質の製品を複数作る事が出来ます。
●プリプレグ/PREPREG
炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の織物、もしくはUDに、半硬化の熱硬化性樹脂(一般的にはエポキシ樹脂)を予め含浸させたシートをプリプレグといいます。
半硬化なので、べたべたせず生八橋の様な感じです。
プリプレグにはワックスペーパーと保護フィルムではさまれていますので、これらを剥がして使用します。
ハンドレイアップ用の生クロスと違い、樹脂を予め含浸させることにより、クロスの目開きを防止することができるので、繊維密度のばらつきが少ない製品が製造できます。
このプリプレグを必要な枚数積層して、熱硬化させることによりオートクレーブ製品(ドライカーボン製品)となります。
プリプレグは柔軟性が高く、また各種樹脂の種類(エポキシ樹脂・ポリエステル樹脂など)を選択できます。
オートクレーブ釜の中で熱を加えることによって硬化するわけですが、130℃で硬化する物が一般的なようです。
80℃硬化の低温プリプレグなんて物もあります。
繊維の種類によってカーボンプリプレグ、ガラスプリプレグ、ケブラープリプレグなどがあります。
いずれも使用期限が定められており、期限内でも保管状況によってすぐに悪くなってしまいます。
ポリシートに包み、冷蔵庫で保管します。
●カーボンファイバー/炭素繊維/CARBON FIBER
アクリル樹脂や石油、石炭からとれるピッチ等を繊維化して、その後、特殊な熱処理工程をヘて作られる、
「微細なグラファイト結晶構造をもつ繊維状の炭素物質」です。
PAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維がありますが、皆さんが目にするいわゆる「カーボンクロス」はピッチ系が多いようです。
いまどき小学生でも「カーボン」と聞くと「えっ?」と振り返る、憧れの素材です。
●アラミドファイバー/アラミド繊維/ARAMID FIBER
アラミド繊維はナイロンの一種ですが、ナイロンは「脂肪族ポリアミド」、アラミドは「全芳香族ポリアミド」と言い、区別されます。
同じ重さの鋼鉄の約5~8倍の引っ張り強度を始め、衝撃に対して強いなど、数多くの優れた特性があります。
防弾チョッキに使用されているのは有名ですが、建物や橋脚の補強や補修にも多く使われます。
アラミド繊維はその分子骨格により、「パラ系アラミド繊維」と、「メタ系アラミド繊維」に大別されます。
<パラ型アラミド繊維:強度、弾性率に優れる>
ブレーキパット摩擦材、防弾衣料、ヘルメット、ヨットセイル、タイヤ補強材、光ファイバー補強材、プリント配線基板など
<メタ型アラミド繊維:耐熱、難燃性に優れる>
防火服、耐熱フィルターなど
皆さんご存知の「ケブラー」はパラ系アラミド繊維で、、1974年にアメリカのデュポン社が商業化し、日本では東レ・デュポン(株)が生産から販売までを行っています。
●ビニロン繊維
ビニロンはPVA(ポリビニルアルコール)樹脂、(通称ポバール)を原料として生産される、日本で研究開発・工業化された合成繊維です。
高強力・低伸度・親水性・耐候性・耐アルカリ性などの特徴があり、ガラス繊維と比べて皮膚刺激が少なく、また軽量のFRP製品ができますが、機械的強度は劣ります。
●テキサリウム/TEXALIUM
フランス、HEXCEL Fabrics社が作った新素材。ガラスクロスにアルミニウムを蒸着させた物のようですが、詳しくは不明です。
生クロスの状態でも非常に硬く、成型する場合は曲面の少ない物のほうが良いでしょう。
●UD/UNI-DIRECTIONAL
クロスやマットと違い、繊維を一方向に引きそろえたシートの事。
カーボンUDとか、アラミドUDなんかがあります。
●ホットプレス
電熱ヒーター付のプレス機だと思ってください。
間にプリプレグを挟み、圧力を加えながら加熱するので、丈夫で軽いFRP板が出来ます。
一般に「ドライカーボン板」として売られているものは、このホットプレスで製造されています。
●コールドプレス
ハンドレイアップ製品の中で、メス型とオス型の両方を使い、プレスして製作する方法や製品の事を言います。
メス型のみで製作する場合に比べ、裏側も表面がつるつるになり、プレスすることで余分な樹脂が抜け、繊維密度が上がるのでより丈夫な製品になります。
●マスター
FRP製品、又は型の原型となる物。
発泡スチロール・ウレタンフォーム・バルサ材・粘土など、「これを使わなければいけない」ということはありません。
もちろん、マスターをFRPで製作することも多いです。
ただ、大型の製品か小型の製品かで使用するマスターの材料は限られてきます。
オートバイの外装などは、その純正部品をそのままマスターとして使用する場合もあります。
●離型材
FRPで使用する樹脂は、接着剤と同じです。
そのまま型やマスターに塗りつけてしまうと、硬化後にひっぱがす事ができません。
そこで、あらかじめマスターや型には離型材を塗りつけておき、脱型を容易にさせます。
液状の物、半固形状の物、スプレー式の物など色々ありますが、単一で使用したり複数の離型材を併用したりします。
車のボディーに使用するワックスなどは使わないで下さい。
●脱泡
FRP製品をハンドレイアップ法で製作する際、繊維には樹脂を手作業で含浸させていきます。
その時、かなりの量の空気が泡となって繊維や樹脂のなかに入り込んでしまいます。
これらの泡は型や製品の強度を落としますので、取り除かなければなりません。
専用の脱泡ローラーで、泡を余分な樹脂と一緒に追い出してやります。
脱泡ローラーにも大きさや形、素材などでかなりの種類が出回っています。
●MEKPO/硬化剤
メチルエチルケトンパーオキサイド。「パーメック:日本油脂」や「カヤメック:化薬アクゾ」という商品名のを多く見かけます。
ポリエステル樹脂やゲルコート、トップコートなどに添加する硬化剤です。
0.5%~2%添加する事によって樹脂が硬化します。
基本的には気温が高いときは添加量を少なく、気温が低いときは添加量を多くします。
ただし、適切な添加量は現場の環境によって左右されますので、経験がものをいいます。
あまりにも気温が低いときは、樹脂を予め暖めておいて硬化を促進したり、塗布後にヒーターで暖めたりもします。
添加量が少ないと硬化不良をおこし、多すぎると異常発熱で異臭や煙を発します。
硬化剤は透明のものが殆どですが、入れ忘れ防止のため赤色に着色されたものもあります(硬化後に赤色は消えます)。
●ナフテン酸コバルト
硬化促進剤のひとつで、濃い紫色をしています。
ビニルエステル樹脂は、通常コバルトが入っていませんので、先に添加します。
ポリエステル樹脂などは通常添加済みなので、改めて添加する必要はありません。
普通は6%コバルトとして販売されています。
●パラフィン/パラフィンワックス/空気硬化剤
樹脂は、空気(酸素)や水に触れている部分は硬化しません。
そこで、樹脂にパラフィンを混ぜておく事によって、樹脂表面にワックスの薄い膜を作り、空気を遮断し(空気中の水分も遮断)表面をカリカリに硬化させます。
●インパラ・ノンパラ
パラフィンワックス入りの樹脂を「インパラ」入っていない樹脂を「ノンパラ」と略します。
インパラ樹脂は、最終積層のみに使用します。中間層にインパラ樹脂を使用すると、パラフィンワックスの影響で層間剥離の原因になります。
●フィラメント
直径数ミクロンのガラス繊維や炭素繊維の事です。
●ストランド
数ミクロンのフィラメントを、数百本束にしたもの。
チョップドストランド/CHOPPED STRAND
ストランドを所定の長さに切断したものです。
チョップドストランドマット/CHOPPED STRAND MAT
チョップドストランドをランダム方向に分散させて均一な厚みに積層し、特殊な結合剤(バインダー)によりマット状に成形したものです。
強度の方向性が極めて少なく、FRP用基材として、ハンドレイアップ成形をはじめとするさまざまな成形法により、広範囲に用いられます。
ガラスクロスに比べ、繊維が短いので強度では劣りますが、型へのなじみの良さ等に優れており、良好なFRP製品ができます.
単位は1㎡あたりの重量(グラム)で表し、#450であれば450g/㎡となります。
●ヤーン
ストランドに撚りをかけたガラス糸の事。
●ロービング
ストランドを、さらに所定の番手になるように数10本引き揃えて束にした製品。
●ロービングクロス
ロービングを織った厚手の平織ガラスクロスの事.
大型FRP製品の補強材として使用されることが多く、ボート、漁船、水タンクや 薬品タンクなど、高い強度を必要とするFRP製品に使用されます。
また、型の強度を上げるために他のガラスクロスと組み合わせて使用します。
●ガラスパウダー
グラスファイバーを微粉末にしたもので、樹脂に充填することにより、寸法安定性・クラック防止、表面改質、耐熱性向上などの効果が期待できます。
ポリエステルパテの材料としてよく使用され、研磨性も良好です。
●タルク
滑石をパウダー状にした粉末で、安価です。
樹脂に入れることで、増量(高い樹脂をケチる事が出来る)、増粘(たれ止め)、クラック防止などの効果があります。
ポリパテの材料としてもよく使われます。
●ガラスクロス/FIBERGLASS CLOTH
ストランドを織ってシート状にしたもの。
織り方によって、平織、綾織、朱子織などがあります。
単位は1㎡あたりの重量(グラム)で表し、#180であれば180g/㎡となります。
●サーフェイスマット/フィラメントマット
フィラメントを、不織布のように平面上でランダム方向に均等分散させ、結合剤(バインダー)により薄いマット状に成形した物です。
成形品の表面に使用され平滑性、光沢、色彩の鮮明さが得られると同時に、耐蝕性、耐水性、耐候性が向上します。
●平織 PLAIN
縦糸と横糸を1本ずつ交互に組み合わせた、最も単純な織り方。
型になじみにくいので、曲面のきつい立体物には向きませんが、クロスの目崩れはしにくいです。
クロスの表裏が同じで、丈夫。
●目抜平織
平織の織目を特に粗くしたもので、柔軟性、融通性に富み、 型になじみやすく含浸性に優れています。
●綾織/TWILL
斜紋織ともいわれ、縦糸、横糸の本数を変える事で交点が斜め方向に配列され、斜めの綾目畝が現れる。
平織に比べて柔らかく、型になじみやすいです。
ただし、目崩れしやすいので、カットする前に目崩れ防止のテープを貼っておくとよいでしょう。
●朱子織
縦糸と横糸の組織点が連続することなく一定の間隔で配置された組織。表面に経糸が多く現れるのを経朱子、反対を緯朱子という。
●ポリエステル樹脂/不飽和ポリエステル樹脂
ハンドレイアップ用の樹脂として、最もよく使われます。
オルソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂
イソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂
ビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂
などがあります。
ハンドレイアップ用の樹脂としては、オルソ系が一般的なようです。
硬化剤を0.5~2%混ぜ、硬化させます。
美術工芸や防水工事にも使われ、ホームセンターなどで安価に手に入ります。
●ビニルエステル樹脂
エポキシアクリレート樹脂とも呼ばれます。
ビス系ビニルエステル樹脂(ビスフェノールAエポキシから作る)
ノボラック系ビニルエステル樹脂(ノボラック型エポキシから作る)
などがあります。
保存性が悪くなるので、コバルトは自分で入れなければいけません。
コバルトを混ぜ、しばらくした後硬化剤を入れます。
同時にいれると大変な事になります。
ポリエステル樹脂に比べ、機械的強度、耐薬品性、接着性に優れ、エポキシ樹脂に比べ、作業性、生産性、コスト面で優れています。
●エポキシ樹脂/EPOXY RESIN
主剤と硬化剤を配合比にしたがって混ぜ、硬化させます。
ポリエステル樹脂と比べ収縮が少なく、接着力が大きく、耐熱性、耐薬品性に優れますが、価格は高めです。
●ゲルコート樹脂
製品や型の表面に使用する樹脂で、「製品用」「型用」と別々に売られています。
ゲルコート樹脂にも、オルソ系やビニルエステル系などがあり、価格や特徴も様々です。
右の写真は型用のゲルコート樹脂で、ビニルエステル系です。
3液性(樹脂・促進剤・硬化剤)で価格も高いのですが、チジミが発生しずらく、TMXでは型には必ずこれを使っています。
型用のゲルコートは大抵ブラック、グリーン、ブルーなどの濃い色をしています。
この上にガラスマットやガラスクロスを積層していくわけですが、その際に泡が見えやすくなるので、脱泡し易くなるメリットがあるのです。
製品用のゲルコート樹脂には透明な物と、ホワイト、ブラックなどの着色済みのものがあります。
着色材(トナー)にはレッドやイエローなど色々ありますので、透明ゲルコートにこれらのトナーを混ぜれば、好きな色のゲルコートを作れます。
ゲルコート樹脂はは全てノンパラです。
ゲルコートに対してトップコートという物がありますが、これはインパラのゲルコート樹脂と思ってください。
つまり、ゲルコートにパラフィンワックスを入れればトップコートになるのです。
●ゲル化
樹脂が硬化し始めた状態。ゼリーの様にドロッとしています。
こうなる前に積層は終わらせ、道具はアセトンで洗浄し終えなくてはいけません。
●トナー/着色材
樹脂や樹脂パテに混ぜることにより、カラータイプのFRP製品を作ることが出来ます。
ゲルコート樹脂は、このトナーが混ざっているために色が付いているのです。
トナーの混ぜる量により、半透明のスケルトン製品を作ることも可能です。